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世界の統計およびSRHR関連データ(2024年2月)

2024.2.28

世界で起きているセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)関連のニュースをお届けします。SRHRに関連するトピックについて世界の状況を出典元より翻訳・抜粋しました。

【掲載項目目次】
世界の平均寿命ランキング
世界人口推計
乳児死亡率
妊産婦死亡率
安全でない中絶
衛生、GBV
世界の同性婚の動き
子どもへの性暴力の現状


世界の平均寿命ランキング

1位 日本 84.3歳
2位 スイス 83.4歳
3位 韓国 83.3歳
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181位 ソマリア 56.5歳
182位 中央アフリカ共和国 53.1歳
183位 レソト 50.7歳

WHO: World health statistics 2022: monitoring health for the SDGs, sustainable development goals https://www.who.int/publications/i/item/9789240051157

*データは2019年、数値は男女混合。

世界人口推計

2023年の世界人口は80億4,500万人。前年比7,600万人の増加、80億人を突破するのは初めてのことです。また、これまで1位だった中国を初めてインドが抜きました。

1位 インド 14億2,860万人
2位 中国 14億2,570万人
3位 アメリカ 3億4,000万人
4位 インドネシア 2億7,750万人
5位 パキスタン 2億4,050万人
6位 ナイジェリア 2億2,380万人
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11位 エチオピア 1億2,650万人
12位 日本 1億2,330万人

日本は、1億2330万人で世界第12位。2022年は1億2560万人で世界第11位でした。今後も増加が予測される国は、コンゴ民主共和国、エジプト、エチオピア、インド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、タンザニアなどです。

国連人口基金(UNFPA): 世界人口白書2023 https://tokyo.unfpa.org/ja/SWOP

乳児死亡率

乳児死亡率とは、出生時から満1歳に達する日までに死亡する確率であり、出生1,000人あたりの死亡数で表します。

サハラ以南のアフリカ、特にナイジェリア、チャド、ギニア、マリ、ソマリア、中央アフリカ共和国、シオラレオネなどが高く、地域別では西部・中部アフリカが61と最高値。世界平均は28となっています(1990年は65)。

UNICEF: 世界子供白書2023 表2 子どもの死亡率に関する指標 https://www.unicef.or.jp/sowc/pdf/UNICEF_SOWC_2023_table2.pdf

妊産婦死亡率

妊産婦死亡率とは、出生10万人あたりの妊産婦の死亡数です。
先進国では日本(4)、アメリカ(21)、イギリス(10)となっていますが、特にサハラ以南のアフリカのチャド(1063)、ナイジェリア(1047)、南スーダン(1223)などは高くなっています。1)

2020年のデータでは毎日約 800 人の女性が、妊娠と出産に伴う予防可能な原因で死亡し、ほぼ 2分に1回の割合で妊産婦死亡が発生しています。しかし、妊産婦死亡率 (MMR:出生数10万人あたりの死亡率)自体は、2000〜2020年の間に世界で約34 %低下しました。2020年における妊産婦死亡者のおよそ95%が低・中所得国で発生しています。2)

1)UNICEF: 世界子供白書2023 表3 母親と新生児の健康指標 https://www.unicef.or.jp/sowc/pdf/UNICEF_SOWC_2023_table3.pdf
2)WHO: Maternal Mortality https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/maternal-mortality

安全でない中絶

中絶は一般的な医療行為であり、WHOの推奨する方法で専門家が行う限り安全ですが、現在の全中絶件数の約45%は安全でない中絶であり、そのうち97%は発展途上国で行われています。また、意図しない妊娠の10件中6件は、人工妊娠中絶に至っています。

安全でない中絶件数の半分以上はアジアで起きており、そのほとんどが南アジアと中央アジアの国々です。ラテンアメリカとアフリカでは、全中絶件数の大半(4件中約3件)が安全な方法で行われていません。

毎年、妊産婦死亡の4.7~13.2%が安全でない中絶に起因しています。先進国では、安全でない中絶10万件につき30人の女性の死亡が推定されていますが、発展途上国では、その数が220人に上ります。2012年の推計によると、発展途上国だけでも年間700万人の女性が、安全でない中絶による合併症のために医療施設で治療を受けています。

安全でない中絶は、女性に身体的・精神的な合併症を引き起こし、地域社会、医療制度にも社会的・経済的負担をかけます。女性の身体が尊重された、安全かつ適時で適正価格の中絶医療へのアクセスは、公衆衛生と人権に関わる重要な問題です。

WHO: Abortion https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/abortion

衛生、GBV

UNICEFの報告によると2022年の時点で、世界では34億人が安全な衛生施設(トイレ)を使用できず、このうち4億1,900万人は、家や近所に利用できるトイレがなく、屋外排泄をしています。特に女性にとって、屋外のトイレに行くこと自体がセクハラや性的暴行の危険性をはらんでいます。またコレラ、下痢、寄生虫感染など多くの感染症の原因となるなどの公衆衛生上の課題も含んでいます。1)2)

調理にクリーンな燃料と技術を主に使用しているのは、世界の人口の3分の2以上(約69%)となり、2000年の50%から増加しているものの、インドの農村部などでは、ガスの普及が遅れ、依然として薪(まき)や乾燥させた牛ふんを燃やして煮炊きする家庭が少なくありません。これらは燃焼時に大量の煙が発生し、料理をする女性やそばにいる子どもに大きな健康被害をもたらしています。1)3)

さらに、女性に対する暴力(GBV)は引き続き蔓延しています。女性が経験する最も一般的な暴力は、親密なパートナーからの暴力(IPV)と非パートナーからの性的暴力(NPSV)です。世界中の女性のほぼ3人に1人が、生涯に一度はこれらの暴力のいずれか、あるいは両方、15歳以上の女性の約4人に1人(26%)が、 IPVを受けたことがあるとのデータもあります。コロナ禍のロックダウン中に性暴力が増加し、状況が後退したとも見られています。1)4)5)

1)WHO: World health statistics 2022: Monitoring health for the SDGs, sustainable development goals https://www.who.int/publications/i/item/9789240051157
2)ユニセフ:衛生的な環境(トイレ)https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act01_03_sanitation.html
3)朝日新聞2023年5月23日: 数百万の命をおびやかす「薪調理」が減らない謎 経済学者が探った https://digital.asahi.com/articles/ASR5Q5J28R5LUCVL011.html
4)国連UNHCR 2020年12月11日: 新型コロナウイルスのロックダウン中に性暴力が増加 https://www.japanforunhcr.org/news/2020/22022
5)The World Bank Gender Data Portal 2022年10月1日: Violence Against Women and girls-what the data tell us https://genderdata.worldbank.org/data-stories/overview-of-gender-based-violence/

世界の同性婚の動き

2024年2月現在、同性婚が認められているのは、世界38の国や地域です。

地域別では、北アメリカが、カナダ(2005)、メキシコ(2015)、アメリカ合衆国(2015)の3カ国。

中央・南アメリカが、アルゼンチン(2010)、ブラジル(2013)、ウルグアイ(2013)、コロンビア(2016)、エクアドル(2019)、コスタリカ(2020)、チリ(2022)、キューバ(2022)の8カ国。

ヨーロッパが、オランダ(2001)、ベルギー(2003)、スペイン(2005)、ノルウェー(2009)、スウェーデン(2009)、ポルトガル(2010)、アイスランド(2010)、デンマーク(2012)、フランス(2013)、イギリス(2014)、ルクセンブルク(2015)、アイルランド(2015)、フィンランド(2017)、マルタ(2017)、ドイツ(2017)、オーストリア(2019)、スイス(2022)、スロヴェニア(2022)、アンドラ公国(2023)、エストニア(2024)、ギリシャ(2024)の21カ国。

オセアニアが、ニュージーランド(2013)、オーストラリア(2017)の2カ国。

アジアが、台湾(2019)、ネパール(2023)の2カ国。

アフリカは、南アフリカ(2006)のみ。

アフリカでは、同性間の関係が犯罪化されている国が多くみられます。アジアは同性婚の法制化が遅れていますが、今後、韓国、フィリピン、タイ、インド、ヨーロッパではチェコが法制化に動くと見られています。日本は、G7で唯一、同性婚が法制化されていない国です。

出典:認定NPO法人 虹色ダイバーシティ
NHK キャッチ!世界のトップニュース 2023年6月29日:「同性婚 世界の現状は」https://www.nhk.jp/p/catchsekai/ts/KQ2GPZPJWM/blog/bl/pK4Agvr4d1/bp/pQMkk09WMB/
Human Rights Campaign: Marriage Equality Around the World https://www.hrc.org/resources/marriage-equality-around-the-world
Marriage for all Japan: 世界の同性婚の動きhttps://www.marriageforall.jp/marriage-equality/world/

子どもへの性暴力の現状

調査データによれば、世界全体で女児の5人に1人、男児の13人に1人が、18歳になる前に性的虐待や搾取を受けています。また、近年は、オンライン上の児童の性的虐待と搾取の規模、複雑さ、危険性がエスカレートしているのが大きな特徴です。子どもへの性暴力には、加害者の大半が男性、被害者の大半が思春期の少女という性別による傾向が見られます。1)

  • 加害者の60%が被害者と面識がある
  • 18歳の54%がオンライン上で性的被害を経験
  • 過去3年間に摘発された子どもの性的虐待コンテンツの93%が女児を対象にしたもの
  • アメリカにおけるオンライン上の子どもの性的搾取と虐待の被害者/サバイバーのおよそ75%は女児
  • ネット上での性的グルーミング(SNSなどでやり取りを重ね、わいせつ目的で子どもを懐柔して会うように仕向ける行為)犯罪は過去4年間で80%増加2)

1)ユニセフ:Action to End Child Sexual Abuse and Exploitation: A Review of the Evidence 2020 https://www.unicef.org/media/89096/file/CSAE-Report-v2.pdf
2) WeProtect: Global Threat Assessment 2023 Data https://www.weprotect.org/global-threat-assessment-23/data/

Author

ジョイセフ 編集室