海外事業グループ 佐藤友美枝
コロナ禍に加えて、突然のクーデターによる混乱が続く中で、プロジェクト開始から3年。やっとバウチャー制度を開始することができました。
バウチャー制度とは、医療施設に行くための交通費や出産で入院する際の食事代を補うために、妊婦健診や出産で医療施設を訪れた女性に、現金と引き換えられる「バウチャー」を手渡す仕組みのこと。軍事政権下でも実施できるように、できるだけシンプルにし、予定していた活動も縮小もしくは省略。こうしてなんとか実施に漕ぎつけました。
しかし、開始できた喜びとともに不安もありました。バウチャー制度の資金はコミュニティ内で各世帯から集めます。もともと経済的に困っている人が多い地域であるうえ、コロナ禍とクーデターでさらに困難な状況に陥り、皆が大変なのに、妊産婦だけを対象としたこの活動がうまくいくのか。そんな中、管理チームの粘り強い働きかけで、ほとんどの村でお金をなんとか出し合い、バウチャー制度を軌道に乗せることができました。
開始から半年経ち、管理チームにこの制度が今後も持続しそうか尋ねたところ、ほとんどのメンバーが「うまくいく」と自信をもって答えました。困難な状況でも、コミュニティ全体で妊産婦と赤ちゃんをサポートしようとする姿、コミュニティ全体で支え合おうとする姿から、日本人として学ぶべきことがあるのではないかと考えさせられました。
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佐藤ゆみえ
2013年にジョイセフに入職。ミャンマーをはじめとするアジアやアフリカ各国でプロジェクトの会計管理やドナーとの連絡調整業務等に従事。ジョイセフ入職前は、スリランカやスーダンで難民支援に携わる。現在も、ジョイセフと並行して日本国内にいる難民の保護を行うNGOで難民支援に従事。エディンバラ大学大学院修了(国際政治学)タイ・バンコク在住。