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【健康であることは、幸せになるための第一歩】Let’s think HPV! 「みんなで考えたい子宮頸がんのこと」インスタグラムライブレポート

2024.6.5

5月28日の「女性の健康のためのアクション国際デー(※)」にちなみ、「子宮頸がん」「HPV(ヒトパピローマウイルス)」をテーマとした連続インスタライブを開催。(主催:公益財団法人ジョイセフ、後援:みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト)

第2回は、5月28日に「みんなで考えたい子宮頸がんのこと」と題して、タレントの休井美郷さんにお話を伺いました。子宮頸がんの前段階である診断を受け、手術を受けた休井さんのご経験や、啓発活動への思いをお聞かせいただきました。子宮頸がんやHPVの基礎知識は、ぜひ第1回「あらためて知りたいHPVのこと」のレポートをご覧ください

インスタライブ全編はI LADY.のインスタグラムアカウント(@ilady_srhr)からご覧いただけます(アーカイブ公開は2024年6月27日まで)

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子宮頸がん検診から遠のいていた

ジョイセフ橋本(以下、橋本):20歳以上の方は、2年に1回以上子宮頸がんの検診を受けることが推奨されています。休井さんは1年ほど前に受けた婦人科系の検診で、子宮頸がんの前の段階であるということがわかったと伺いました。これまで、婦人科系の検診は受診されていましたか。

休井さん:6年ぐらい子宮頸がんの検診は受けていませんでした。私は低用量ピルを服用しているので、血栓ができていないかなどピルを飲むための検査や、卵巣の検査はしていました。でも子宮頸がんの検査はしていなかったです。

橋本:よく婦人科のクリニックには行っていたけれども、子宮頸がん検診は受けてなかったという状況だったのですね。

「まさか自分がなるわけない」

橋本:子宮頸がん検診を受けた結果がどうだったのか、その結果についてどんなふうに感じたか、教えていただけますか。

休井さん:(婦人科系の検診を受けた)きっかけは体調不良でしたが、その体調不良は結果として子宮頸がんには全然関係のないものでした。まさか自分がなるとは思っていなかったので、結果が届いて、最初は信じられないというか。こんなに身近にあった病気なはずなのに…。まさか自分がなるわけないよなって、なんでかわからないけれど思ってしまっていました。受け入れられないとか、びっくりしたとか、悲しいとかよりももっと先に、信じられないという気持ちの方が大きかったですね。

橋本:検診を受けるときはまさか悪い結果が出ると思っていなくて、何もないだろうなという気持ちだったのですね。

休井さん:そうですね。元々卵巣嚢腫はあったので、そちらは気になっていました。成長してないかな、大きくなってないかなとかそういう不安はありましたが…。まさか(子宮頸がん検診に)引っかかるとも思ってないですし、検診後も、検査結果が来ることすら忘れていたぐらいでした。

「自分だけの身体じゃないんだ」

橋本:まさかという気持ちだったとのことですが、結果を受けて周りの方やご家族にはご相談されましたか。

休井さん:相談しました。10年以上仲の良い友だちと話したときに、その友だちも20歳のときに経験していたことがわかりました。その友だちは20歳からなのでもう十何年も、毎回しんどい気持ちや不安な気持ちを抱えて、今も3カ月に1回、検診に行っているという話を聞かせてくれました。こんなに悩んでいる人がこんなに身近にいるんだという驚きがありました。両親に伝えたときは、私よりもお母さんの方が滅入ってしまって。自分だけの身体だけじゃないんだなというのも、そのときに実感しました。

橋本:普段病気や健康の話って、お友だちともなかなかしないですよね。

休井さん:そうなんですよね。今では私が病気になったのをきっかけに、話すようになりました。でもそれまでは、本当に仲の良い、3日に1回くらい会うような友だちでも、なかなか話題にはなりませんでした。

ライフプランを考慮して治療方法を選択

橋本:検診を受けて子宮頸がんの一歩手前の状態だということがわかり、その後手術を受けたとお聞きしました。どんな手術を受けるかなども悩まれたのではないかと思いますが、そのときのお話も聞かせていただけますか。

休井さん:最初両親とは、一部切除する手術にしようと話していました。当時私の年齢は32歳で、将来子どもが欲しいというライフプランがありました。先生に手術の相談をしたところ、もし子どもを産むとしたら近い将来なので、切除すると早産のリスクが高まってしまうこともあり、1回レーザー手術をして様子をみてもいいのではないかというお話をいただきました。
例えば私が19~20歳とか、まだ子どもを産むまでに長い期間がある年齢だったら、再発のことも考えて切除するという選択もあったと思います。でも私の場合は32歳という年齢で、子どもを産むならそんなに遠い未来じゃないと考えました。なので「レーザー手術にして、1回様子見たらどう?」という先生からのご提案に「そうします」と答えて、レーザー手術をすることにしました。

橋本:元々ご両親と相談されて一部切除と考えていたときは、「再発したくない」という気持ちでご自身でいろいろ調べて、そのように思っていたのでしょうか。

休井さん:そうですね。再発のリスクだけを考えていました。

橋本:ご自身のライフプランも含めて相談できる先生と巡り合ったのは、とても良かったですね。

休井さん:本当に先生が親身になってくれたのが、私としてはすごく大きかったと思います。

橋本:レーザー手術を受けると決めて、手術を受けるまでの期間の心境はどうでしたか。

休井さん:手術を受けるまでは、手術が怖いというよりも早く手術したい気持ちの方が大きかったです。待っている間も、たとえどんなにゆっくりだったとしても進行していってしまうと思って。1日でも1時間でもいいから、早く手術したいという気持ちしかありませんでした。

橋本:焦りからの怖さが、手術までの期間にはあったのですね。

休井さん:健康に対する怖さみたいなものはありましたね。

「子宮頸がんの怖いところって、自覚症状がないんです」

橋本:手術を受けられてから1年ほど経ちますが、今までの経過や受けてみてどうだったかについても聞かせていただけますか。

休井さん:手術が終わった後は、やっと手術できた、終わった、気分が晴れたみたいな気持ちになりました。本当にすっきりしたという感じでした。
子宮頸がんの怖いところって、自覚症状が本当にないんですよ。体調が悪くなるわけでもなければ、めまいがするとか、そういう症状もないから、わからないんですよね。手術前後で体調的に変わったことは、本当に一つもなくて。

橋本:第1回のインスタライブでも、何も自覚症状がないという話が出てきました。痛いとか痒いとか不正出血とかは全然なく、元気だと思っていても実は進行していることがあるというお話でした。まさに休井さんの場合も、体調不良はあったけれどそれも子宮頸がんとはまた別の理由でしたし、自覚症状がない状態で検査結果を見てびっくりして手術したという感じだったのですね。

「みんなが、発信してよかったと思わせてくれました」

橋本:休井さんはご自身が受けた検診や手術、そして子宮頸がんの正しい知識を持つことの大切さを発信されていますよね。これまでフォロワーさんやお友だちからはどんな反応がありましたか。

休井さん:子宮頸がんがわかったとき、初めは公表するつもりはありませんでした。でも病院に行って、すごく不安だという気持ちを先生に伝えたときに、先生がデスクの横にあるカレンダーを見せてくれたんです。それを見たら、毎日毎日、日付のところに青い丸印がいっぱい付いていて。付いてないのは月に2日くらいだけでした。
そしたら先生が、「この青いマークがつけてるところ、全部子宮頸がんの手術なんだよね」と話してくれたんです。そのときに、「こんなに悩んでる人いたんだ」と気づきました。周りに子宮頸がんになった友だちは1人しかいなかったので、(当初は)「なんで(私たちだけ)こんなつらい思いをしなきゃいけないんだ」と思っていたのですが、そのカレンダーを見たときに、「こんなに毎日毎日悩んでる人がここに来てるんだ」と思いました。
私のフォロワーの8割ぐらいは女の子なので、私が絶対に治して「大丈夫だよ」ということを、もっともっと伝えた方がいいなと思いました。私は仕事をするにあたって、女の子に勇気を与えたいという思いがすごく強いんです。私にできることがいっぱいあるなと思って、伝え始めました。するとこれまで来たことないぐらいの数のDMが届いて、そこでみんなでしんどい気持ちや不安な気持ちを共有できたことが、私は本当によかったなと思っています。みんなが、発信してよかったと思わせてくれました。

「周りの人が検診に行ってくれるだけで、私はすごくうれしい」

橋本:このインスタライブでもYouTubeなどでも、休井さんはフォロワーさんに向けてご自身の経験を話すことで、みんなにぜひ検診に行ってほしいというメッセージを強く伝えていらっしゃいますよね。実際に検診に行きましたというような、アクションに繋がったという反応もありましたか。

休井さん:そうですね。本当に信じられないぐらいのコメント数とDMをもらいましたし、友だちが実際に病院行ったよと伝えてくれたり、収録現場で全く話したことがないスタッフさんがニュースを見て私も検診行きましたと話しかけてくださったり。周りの人が検診に行ってくれるだけで、私はすごくうれしい気持ちになります。

みんながもっと検診に行ってくれるように

橋本:休井さんだからこそできることの一つとして、こうした啓発活動をされていると思いますが、その中で実際にやってみて、なかなか難しいなとか、もっとこうなったらいいのになと思うことはありますか。

休井さん:難しいなと思うのは、(検診に)行ってくれる人もいる反面、すごく仲の良い友だちでも行ってくれない人は行ってくれないんですよね。どんなに怖い病気だって、こんなにも怖いことがあるんだよって伝えても、面倒くさいと思ってしまう人は、思ってしまうので。そういう人たちに、どうやって、どんなことを伝えたら検診に行ってもらえるかなということを考えています。伝え方って難しいなと。

もっと大きいことで言うと、ちょっと検診の費用が高いなと思います。絶対に受けてくださいって言っている検診なのに何万円もして、簡単にいける金額ではない。だから、「行きたいな」って思ったときにすぐに行けるようなぐらいの金額になればいいのになって思います。

橋本:自治体によって例えば20歳のときにクーポン券みたいなものが届いたり、勤めている会社によっては会社の健康診断のメニューに入ってるといった場合もありますよね。無料や低い金額で、2年に1回みんながもっと検診を受けやすくなってほしいですね。
(※)子宮頸がん検診のみの場合、自治体の補助を使うと、2年に1度の頻度で無料~数千円で検診を受けられます。自治体によって異なるので、ご自身の住民票がある自治体にご確認ください

子宮頸がん検診ってどんな感じ?

橋本:私たちも日々の啓発活動をしていますが、すごく大事なことだとわかってもらうことと、実際に検診行ってみることのギャップはあると感じています。例えば第1回のインスタライブでも、「婦人科に行くのが怖い」とか「どんなことをされるか不安」と思う方もいらっしゃるという話が出てきました。休井さんご自身が実際に検診を受けてみて、どんな感じだったか教えていただけますか。

休井さん:(子宮頸がん検診は)分娩台みたいな台に乗って、検査をします。それ自体は私もあまり得意ではないんですけど…。子宮頸がんの検査自体は痛みとかも本当にないんです。かかる時間も5秒ぐらいでした。なので、確かに怖い気持ちもわかるんですけど、痛いことはされないので安心してください。

橋本:ありがとうございます。それを聞いて安心したという方がたくさんいると思います。
もし不安な場合は「今日初めてなんです」などとお医者さんに伝えていただくことで、より丁寧にやっていただけたりもすると思います。ぜひ皆さん最初の検診に行く、まず一歩踏み出していただけたらうれしいです。

「自分の今後の幸せのために、検診を受けてほしい」

橋本:診断受けてから1年ほど経った今、休井さんから皆さんにメッセージをいただけますか。

休井さん:早期発見の大切さってよく耳にすると思うのですが、身をもって、いかに早く見つけることが大切かというのを私は実感しました。
例えば1年後こうなっていたい、2年後こうなっていたいとか、将来家族をつくって子育てもしたいとか、まだ若い子だったら将来何になりたいとか、いっぱい夢があると思います。その夢を叶えるためにも、自分の身体が健康的じゃないと何も叶っていかないというか。や
自分が幸せになるための第一歩の本当に初期の初期が、自分の身体が健康であることだと思うんですね。
だから自分のために、自分の今後の幸せのために、「私は幸せになるために病院に行くんだ」くらいの気持ちで、病院に行って、検診を受けてほしいなと思います。

よく食べて、よく笑って、よく寝て、健康に

橋本:「女性の健康のためのアクション国際デー」にちなんで、子宮頸がんに限らず、ご自身の将来と健康をこれからどんなふうに考えていきたいかについても一言いただけますか。

休井さん:子宮頸がんとわかったとき、「進行を遅らせる方法はありますか」と先生に聞いたら、「よく食べてよく笑ってよく寝ることだね」と言われました。自分の身体を健康に保つのに大切なのは、よく笑って、よく食べて、よく寝ることだと思うんです。
だから私はやりたいことを我慢せずに全部やって、1日1日をすごく楽しむということを心がけるようになりました。よく笑うようにしようって、思うようになりましたね。健康でいるために。

(※)女性の健康のためのアクション国際デーとは
 

 
1987年に中米コスタリカで開催された「国際女性の健康会議」から始まったもので、ジョイセフもこのキャンペーンに賛同しています。
世界中でNGOやアクティビストたちが、誰ひとり取り残さず、すべての女性が健康であることを祈願し、毎年この日を共に祝い、声を上げ、連帯し様々な課題に挑戦しています。

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