2023年9月。
SRHRの為に活動する団体が集まり、声をあげました。
世界避妊デー(26日)と国際セーフアボーションデー (28日)が続く9月は、SRHRを守るために特別な月です。
9月27日(水)日本でSRHRにかかわる活動を行っている団体が一堂に会し、東京駅前の広場でSRHRの実現と保証を求める初めてのスタンディングアクションを行いました。
SRHRに関するこれまでの動き
2023年は、SRHRに関する様々な動きがありました。
1月、緊急避妊薬の薬局販売に関するパブリックコメントが募集され、47,000件ものコメントが市民から政府に寄せられました。これを受けて厚生労働省の検討会では、薬局でのテスト販売を開始するとしましたが10月現在、そのテスト販売を実施する薬局数は全国でわずか350件余り。全国で6万店あるとされる薬局のわずか0.5%でしかなく、アクセスの悪さは改善されていません。
4月、経口中絶薬が厚生労働省で承認され、5月から一部の病院でも使用ができるようになりました。しかし服用に際しては入院・病院待機が必須(他国では自宅で服用できる)、薬価および病院の費用が高額、配偶者同意が必要など、こちらもアクセスが制限された状況です。
6月、性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律(LGBT理解増進法)が成立。当事者たちが求めていた性的マイノリティに対する差別を禁止する役割を果たさないばかりか、差別を助長しかねない内容であるとして、不安を呼び起こしています。
スタンディングアクションでSRHR課題の解決を訴え
なかなか進まない日本のSRHR実現。
上記以外にも包括的性教育、アクセスできる避妊薬(具)の種類が少ないこと、ジェンダーに基づく暴力、その他障害を持つ女性や、移民女性が直面する複合的な差別など、SRHRやジェンダー平等に関する問題が山積しています。
スタンディングアクションは#なんでないのプロジェクト代表 福田和子さんの進行でスタート。いつもは異なるSRHR課題解決に向けて活動する団体や個人が一同に会し、延べ130名の方がSRHR実現に向けて発言。スタンディングアクションに賛同を示した団体・個人は約90に上りました。
ジョイセフからは、事務局次長の小野美智代が「様々なSRHR課題に取り組む団体や個人が集まって、初のSRHRスタンディングアクションを開催できたことをうれしく思っている。連帯してともにSRHRの実現に取り組んでいきましょう!」と連帯を呼びかけました。
理事長の勝部まゆみからは
「多岐にわたるSRHR課題。どれ一つとして取り残すことはできない。重要な課題に取り組む仲間たちが、こうして一同に会することができたことを大変うれしく思う。ジョイセフは55年間SRHRの推進とジェンダー平等の実現を目指し、取り組んできた。今後もみなさんとともに声を上げていきたい。」
と話しました。
シニア・アドボカシー・オフィサーの草野洋美は
「日本政府が今年G7議長国として取りまとめたG7首脳宣言には、全ての人の包括的なSRHRの実現にコミットすることが言及されている。世界に向けた約束を日本国内でも守り、基本的人権としてのSRHRを実現してほしい。市民の声を日本政府に届けていきましょう。」
と呼びかけました。
避妊、中絶、性暴力、LGBTQ+や障害女性、移民女性などマイノリティの方のSRHRなど、SRHRの課題は山積しています。普段それぞれのイシューごとに個別で活動することが多い団体や個人は、社会の変化の遅さに疲労することや、無力感を覚えることもあります。今回のスタンディングアクションでは、多くの活動当事者が時間と場所を共有し、互いの声を聴くことで、連帯を強めることができました。
来年もこうして集合できることを祈りつつ、それぞれの活動を進めていきます。
当日の映像はポリタスTVよりご覧いただけます。
- 共催団体
- 公益財団法人ジョイセフ、#なんでないのプロジェクト、SOSHIREN 女(わたし)のからだから、一般社団法人Spring、#もっと安全な中絶をアクション(ASAJ)、一般社団法人LGBT法連合会、SRHRユースアライアンス
- 当日会場で発言、または連帯メッセージを送ってくださった団体・個人の方(敬称略、順不同)
- 田中雅子、卜田素代香、西村知咲、畑野とまと、鈴木怜那、大橋由香子、片山亜紀、石原燃、逸見萌依、金子深雪、梶谷 風音、納田さおり、關まり子、DPI女性障害者ネットワーク、エトセトラブックス、RHRリテラシー研究所、認定NPO法人フローレンス、あおい、フェミニスト手芸グループ山姥、優生手術に対する謝罪を求める会、NPO法人にじの絲、アジア女性資料センター、津田塾大学学生団体レアスマイル、(一社)LGBT法連合会、男性アクティビストを増やす会、性暴力被害者支援情報プラットフォームTHYME、藤沢女性のクリニックもんま、ミヤマアキラ、岩崎眞美子、杉村和美、福島みずほ、秦レンナ、成宮八重子、プロボス、水上友理恵、はなの、加藤弓実、五十嵐美那子、高井ゆと里、古屋敷一葉、おのみずき、えりりん、渋谷路世、酒井なつみ、コウキ、増田晶咲、辻奈由巳、古川雅子、おざわじゅんこ、寺田静、岩本美砂子、Tomomi、tomato、木崎 尚子、後藤彩子、カメ、マルティネスまろみ、利光惠子、じゅん、中島かおり、米津知子、塚原久美、中込さと子、北 明美、伊藤尽、杉村和美、てらだはるか、齋藤有紀子、ぴの、酒井彩実、田中英子、瀬山紀子、細谷実、セイノ、ラビアナ・ジョロー、でんでん、希咲未來、松丸アキ、笛美、早稲田ゆき、南由美子、佐藤優香、ハリム、斎藤文栄、notch、ちゃんまり、井田奈穂、三輪敦子、なおこ、朝倉柚奈
SRHRユースアライアンスのメンバーも、SRHR推進を訴えました。
- Author
草野洋美
シニア・アドボカシー・オフィサー。日本のSRHRとジェンダー平等の状況を改善するために、国連人権理事会のメカニズムを活用したアドボカシーに取り組んでいる。 G7の公式エンゲージメントグループであるW7の実行委員兼アドバイザー。 また、若者を中心としたアドボカシーグループ「SRHR ユースアライアンス」の事務局を務め、政策提言を通じて日本のSRHRを取り巻く問題の改善と認知向上を目指している。 2019年にジョイセフに入職する以前は、企業のCSR活動の一環として、2011年の東日本大震災の被災者に対する心理社会的支援プロジェクトを5年間統括した。