ネパール
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ネパールでは、性に関することを話題にすることがタブー視されがちです。特に結婚前の若者がセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)や自分の身体や健康、性について正しい知識を学ぶ機会が少ないという現状があります。
また、男尊女卑の考え方が根強いネパールにおいて、望まない妊娠、性感染症、ジェンダーに基づく暴力、若年結婚、人身売買などが深刻な社会問題となっています。
例えば、ネパールでは年間5000人~12000人の少女や女性が人身売買の被害にあっています。(*1)また、約5人に1人の女性が、少なくとも1度の身体的暴力を経験(*2)していますが、実際に被害を相談する女性は多くありません。女性が自分自身を守る知識や対処法が必要であると同時に、若い男性にもこうした問題への理解を深めてもらう必要があります。
(*1)”Nepal Preliminary Mapping of Gender Based Violence,” Government of Nepal, Aug 2010
(*2)”Nepal Demographic and Health Survey 2011,” Government of Nepal, Mar 2012
ネパールの女の子たちへのエンパワーメント支援活動
プロジェクト名 | ネパールの女の子たちへのエンパワーメント・プロジェクト |
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目的 | 若者(特に女子)が、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスに関する正しい知識を身につけ、自分の身体や心を守れるようにする。 |
実施地域 | カトマンズ盆地 |
実施期間 | 2016年9月~2018年3月 |
対象人口 | カトマンズ盆地に住む10代~20代の女性や男性 約2000人 |
資金ソース | 寄附金 |
現地協力団体 | IPPFネパール(ネパール家族計画協会:FPAN) |
ジョイセフは、若者たちが自らの身体と健康を守るための知識を身につけることができるように、包括的な性教育(Comprehensive Sexuality Education: CSE)の取り組みを展開しています。
CSEとは、単なる性教育の知識を得るための教育ではなく、若者たちのライフスキルを養うことを目的とした教育です。ジェンダーとはなにか、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスやライツとはどういうものなのか、人間関係をどのように構築していけばいいのか等、いろいろな角度から学ぶための教育です。
ジョイセフはCSEを通して知識とスキルを身につけたピア・エデュケーターによる若者から若者への啓発活動に取り組んでいます。
また、より多くの女の子にCSEのクラスを受けてもらうためのきっかけとして、ピアたちが、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスの講座と同時に、インテグレートのグローバルシスターズ・プロジェクト(http://www.shiseido.co.jp/ie/gsp/ へリンク)のサポートによる、メーキャップ・レッスンも行います。
メーキャップ・レッスンとセットで啓発活動を行うことで、これまでRHに全く興味がなかった女の子たちも講座に足を運ぶきっかけとなることを期待しています。
2017年は、2016年度に既に研修を行ったピアへの再研修と啓発活動、及び新しい地域でも新にピア・エデュケーターを育成し、学校やコミュニティ、また啓発イベントの実施を行い、若者へのセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスの知識の普及に取り組みます。
2015年に発生した地震により倒壊したユースセンターの再建が2016年度後半に開始しました。ユースセンターは、ピア・エデュケーターが若者たちに啓発活動を行う一つの拠点であると同時に、ピア・エデュケーター同士で経験交流を行い学び合う場でもあるため、一日でも早く再建できるよう引き続き注力していきます。
皆さまのご協力をお願いいたします。
男尊女卑の風潮が根強いために、ネパールの女の子たちは、望まない妊娠や性感染症、人身売買を含むジェンダーに基づく暴力などのリスクに常に直面しています。
彼女たちの命と健康を守るためには、彼女たち自身が自分の身体や性に関する知識を身に付け、率先して健康を意識した行動を取るようになることが不可欠です。
しかし、女の子たちに身体や性に関するデリケートな話をするのは容易ではありません。そこで、プロジェクトでは、女の子たちと同世代のピア・エデュケーターから話しかける方法に加えて、イベントなど若者が参加しやすい機会を作りそこで楽しく学んでもらう活動も進めています。
80万円あれば、年間を通じて定期的にラジオでの啓発プログラムやストリートパフォーマンスの屋外イベントを実施し、ピア・エデュケーターから約40,000人の若者に対して啓発活動を行うことができます。
寄付の方法
現地のパートナーNGO
IPPFネパール
(FPAN: ネパール家族計画協会)-
IPPFネパールは、1959年に設立され、ネパールで初めて女性・女の子の保健、妊産婦保健の分野の活動を始めたNGOです。ネパールの母子保健、家族計画、性教育の分野で中心的な役割を担っています。ネパール政府が1969年に家族計画母子保健プロジェクトを開始後は、国の人口および保健政策を担う重要な専門機関となっています。そのような背景から、2014年にネパール政府はIPPFネパールの設立日、9月18日を国の「家族計画の日」として制定しました。2015年には、女性の保健、女性・女の子の健康、権利の分野で永年貢献してきた実績を評価され、IPPFより最も優れた加盟団体として選ばれました。
ジョイセフは、IPPFネパールとともに、1973年から20年間、安全な出産を支援するプロジェクトを協働実施、クリニックを建設し人材養成を行い、地域の母子保健に貢献しました。
IPPFネパールは国内の34郡で480人のスタッフと11000人のボランティアが地域レベルで活動しています。
(2009年実績)