SRHRは誰のもの?

SRHRは、「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と生殖に関する健康と権利」です。性と生殖について、一人ひとりが適切な知識と自己決定権を持ち、自分の意思で必要なヘルスケアを受けることができ、自らの尊厳と健康を守れること。国連や国際機関も提唱しているように、SRHRは、人が生まれながらに持つべき権利(基本的人権)です。つまり、SRHRはすべての人のものです。

ジョイセフは1968年の設立以来、女性が自分らしく健康に生きられるよう、SRHRを推進しています。生殖に関する健康と権利の部分で、実際に妊娠の当事者となる女性*1自身が、産む・産まない、いつ産むか、何人産むか、誰の子どもを産むか、を決められない状況がいまだに続いているため、ジョイセフは国内外で、SRHRに加え、女性の権利も同時に推進してきました。SRHRと女性の権利の実現は表裏一体です。

また、近年、性的指向及びジェンダーアイデンティティ(性自認)の多様性が社会的に顕在化し、LGBTQ+(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスショニング/クィア)を含む性的マイノリティの人々の人権を守る動きが進んでいます。SRHRを推進する国際機関も、個々人が性的指向、性自認、性表現を含めたセクシュアリティについて自ら自由に定義できることを、SRHRの重要な要素と位置づけています。

そして今年、2024年7月3日、日本では、旧優生保護法のもとで、障害などを理由に行われた強制不妊手術について、最高裁判所大法廷が「旧優生保護法は憲法違反である」という判決を下しました。1996年まで48年間続いた旧優生保護法は、国家が障害者のSRHRを含む人権を認めていなかったことを示しています。当事者の長年の運動の成果が実ったこの違憲判決は、日本における障害者の権利実現に向けた大きな一歩ではありましたが、障害者のSRHRはじめ人権の実現には世界的に多くの課題が残されています。

SRHRはすべての人のものです。ジョイセフは、女性、障害者、性的マイノリティなど、社会の主流から取り残されやすい人々の人権擁護団体と連携し、長い歴史の中でその権利が脅かされてきた人々のSRHRを推進します。

*1 厳密には、妊娠できるのは女性、及び妊娠できる身体を持つ人たち