プロジェクトの流れ

1. 計画

① ニーズ調査 🔎

プロジェクトを開始する際には、事前の調査が重要です。私たちは候補地の保健当局やNGO等へのヒアリングを行い、地域が抱える課題やニーズを確認することから始めます。この調査を通じて、ジョイセフと現地保健当局の役割分担や協力体制、プロジェクトの持続可能性をも検討します。

② 役割分担の確認 ✅

例えば次のように、ジョイセフと現地保健当局の役割を分担します。
ジョイセフ :資金調達、技術提供、ファシリテーション
現地保健当局:医療者の配置、地域住民への保健サービスと医療消耗品の提供、研修講師の手配、保健省や地域のリーダーとの連絡・調整

③ 持続可能性の検討 📝

プロジェクトの持続可能性は、プロジェクトの成果が現地の人々の手で、持続・自立発展するしくみを構築できるかどうかにかかっています。
例えば子宮頸がん検査を強化する事業で、医療器具の購入や医療従事者への技術研修、住民を検査につなぐ地域保健ボランティアの養成を経て、実際に検査がスタートしたとします。プロジェクトが終了し、外部からの支援(資金)が止まり、スタッフが引き揚げた後はどうなるでしょうか? 保健ボランティアのモチベーションが低下したり、医療器具のメンテナンスや消耗品(コットン・消毒液など)の購入が難しくなったりすると、活動は途絶えてしまうでしょう。そうならないためにも、こうしたプロジェクト終了後に起こりうる課題について、あらかじめ十分に検討する必要があります。プロジェクト後の活動継続が難しいと判断すれば、より持続可能性の高い事業計画へと練り直します。

2. プロジェクト決定

④ プロジェクト形成 🗂️

まず、現地が抱える課題に対して、有効かつ成果が持続する施策を考えます。それに合わせて事業地と対象人口、アプローチ方法を決めていきます。続いて、目標と成果、それらの達成度を測るための指標、具体的な活動内容、予算を設定し、現地政府および地域のリーダーや関係者(さまざまな委員会など)の役割分担を定めます。最後に予算を確保すれば、プロジェクトを始める準備は完了です。

⑤ 住民参加の事業体制づくり 🛤️

支援活動は、ジョイセフが一方的に主導するものではありません。どのプロジェクトにおいても、地域の人々と協同で計画段階から立ち上げ、軌道に乗るまで伴走し、人々がみずから保健活動を維持・継続していけるように「住民主体の仕組み」をつくっていきます。

そのためジョイセフのプロジェクトでは、住民とコミュニティが主体となって取り組みを進めるための「人づくり」に力を入れます。具体的には、医療従事者への研修や技術トレーニング、地域保健ボランティアの養成、地域のリーダーや住民代表が参加する保健推進委員会の能力強化など。こうした人々は、地域住民とともに課題解決へ向けたプロセスを進めるうえで、中心的な役割を担うキーパーソンです。

3. 実施

⑥ 活動の実施 🚶‍♀️

これまでに確認した役割に沿って、現地政府、地域リーダー、住民参加のもとで活動を実施します。

⑦ 定期モニタリングとレビュー 📊

プロジェクトを実施している間、現地政府、地域リーダー、住民、ジョイセフは、定期的にモニタリングとレビュー会議を行います。これはプロジェクトの進捗と成果、課題を確認し、対策について協議するものです。成果を計るための指標は、もともと実施国の行政が定期的に収集しているデータを採用し、持続的に成果の進捗を確認できるようにしています。

4. 持続可能性の確保

⑧ 持続・自立発展計画づくりとテスト実施 📋

プロジェクトが終わった後も、得られた成果や良い変化が持続するように、現地政府、地域リーダー、住民の代表者が持続・自立発展計画を立てます。ジョイセフの役割は、このプロセスにファシリテーターとして伴走し、知見やノウハウを共有しながら、計画が実現可能なものになるようサポートすることです。計画が完成したらテスト実施を実施し、うまくいかない場合は、問題点を検証して練り直します。

⑨ 持続・自立発展計画の修正 📌

持続・自立発展計画のテスト実施と事業評価(下記)の結果を踏まえて、現地政府、地域リ-ダー、住民の代表者を中心に、より現実的かつ効果のある計画へと修正します。

5. 事業評価

⑩ 事業評価 🗃️

プロジェクトの目的を達成したかどうかを評価するために、現地政府や地域リーダーなどに依頼し、必要な情報やデータを提出してもらいます。得られた情報をもとに客観的な評価が行われます。必要に応じて、第三者である国内外の研究機関に評価を委託することもあります。

6. 事業の引き渡し(ハンドオーバー)

⑪ 成果の共有 📢

事業国の政府や行政機関、関係するNGO、資金支援者などに向けて、プロジェクトの成果を伝えます。

⑫ ハンドオーバー 🤚

プロジェクト終了にともない、ジョイセフから事業地の関係者へ正式に事業を引き渡すハンドオーバー(引き継ぎ)を行います。特にプロジェクトで保健施設や女性センターなどの建設を行った場合は、今後の維持管理運営に関する取り決めが重要です。保健局や福祉局をはじめとする関係者の役割分担を明確に決めて、覚書を交わします。

⑬ 持続・自立発展 📈

プロジェクトの真価が問われるのは、ハンドオーバーが終わってから。プロジェクト地域の人たちと一緒に作った持続・自立発展計画は、一人ひとりが自信を持って実行できる、具体的で力強い「変化の種」です。
ジョイセフが活動してきた世界の国々には、この種が根付き、健康への意識向上や前向きな変化が継続しているコミュニティがたくさんあります。そこでは予期しない妊娠や安全でない中絶が減少したり、施設での安全な出産が増えて母子の命を守れるようになったり、性感染症予防や治療への意識が高まったりしています。
ジョイセフの目標は、このように住民主体の活動が地域にしっかりと根を下ろし、ジョイセフがいなくなった後も、持続可能な形でSRHRが実現していくことです。