ニエリカウンティにおける母子保健サービス強化事業
地域ケニア活動分野母子保健アプローチプライマリヘルスケア / 地域保健強化保健システム強化ヘルスプロモーションSDGs3.すべての人に健康と福祉を
プロジェクト名 | ニエリカウンティにおける母子保健サービス強化事業 |
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実施国 | ケニア共和国 |
活動の目的 | ニエリカウンティ 内にあるニエリタウン保健センターに分娩室を含む産科棟を整備すると共に、医療従事者への能力強化研修も行い、質の高い母子保健サービスを提供する。 |
実施地域 | ニエリカウンティ |
対象人口 | 間接被益人口75万9,164人 |
実施期間 | 2020年3月~2024年3月 |
スキーム等 | 外務省 |
共同実施機関(現地) | ニエリカウンティ保健局 |
背景 | ニエリカウンティには総合病院が1つありますが、同病院の周産期医療の利用者数は増加傾向、患者の受け入れキャパシティを超えており、分娩前後の妊産婦が1台のベッドを複数人で使用する様子も確認されています。 上述の総合病院から約3kmに位置する、本プロジェクトの対象施設であるニエリタウン保健センターは、3つのスラム(マジェンゴ、ウィテメレ、キアワラ)に近接しています。貧困層やスラムに住む女性が最も利用しやすい保健施設であり、産前産後健診、予防接種、外来対応、応急処置などの医療を提供しています。新規の妊婦健診受診者数は1,188人(2019年)で、同センターが対象とする管轄内妊産婦推計数の約2倍の利用がありますが、分娩室及び産褥病棟がなく、分娩はすべて上記の総合病院か分娩設備のある保健センターで行われます。 貧困層の妊産婦には、様々な理由で、自宅分娩を選択する者も多く、不衛生な環境のもとでの不適切な処置等により、母子の健康が脅かされる一因となっています。 ニエリタウンのスラムの女性で直近の出産時に自宅分娩を選択した女性を対象とした調査で、自宅分娩を選択した理由として次のような理由が報告されました。近隣の保健施設では分娩ができない(63%)、保健施設のスタッフの接遇(フレンドリーサービス)が悪い(46%)、保健施設での長い待ち時間(53%)、施設分娩は交通費を含むコストがかかる(23%)、保健施設が遠い(60%)、近くで分娩ができる保健施設の所在が分からない(20%)などです (2021年7月時点)。 ケニアではすべての母親や赤ちゃんにとって最も望ましいケアのための保健省指定ガイドと実施マニュアルがあるにも関わらず、ニエリタウン保健センターではこれらが実践されていない状況にあります。ニエリカウンティでのUHC達成には、貧困層が利用やすい、アクセスの良い公的医療施設の医療サービスの量・質の改善が不可欠でした。 こうした背景から、本事業ではスラム地区に隣接した一次医療施設であるニエリタウン保健センターを対象とし、分娩施設整備を含む質の高い母子保健サービスが提供できるようにするための支援を実施することになりました。 |
主な活動 | 1.ニエリタウン保健センターでの産科棟建設 2.事業のモニタリング・評価計画の立案(モニタリング・評価専門家派遣) 3.医療従事者を対象とした感染予防対策研修 4.医療従事者と保健行政官を対象としたすべての母親や赤ちゃんにとって最も望ましいケア(RMC: Respectful Maternity Care)研修 5.医療従事者と保健行政官を対象とした5S研修(5S専門家派遣) 6.外部専門家による質の高い母子保健サービスの提供のための評価・指導 7.外部専門家による建設工事の品質チェック 8.プロジェクト運営委員会の定期会合を通じた事業進捗の確認 |