安全でない中絶
すべての女性は、自由に責任を持って、誰からも強制されたり暴力を振るわれたりすることなく、子どもの数や、出産の時期と間隔を決める権利を持っています。
そのために必要な情報や手段を得て、高水準のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)を実現する権利もあります。
これらはすべて人権として、1994年の国際人口開発会議(ICPD)で認められました。この権利を守るには、法律が中絶の権利を保障し、中絶が医学的手段を用いて安全に行われることが必要不可欠です。*1
世界全体では、妊娠の約25%が中絶に至ると言われています。2010年から2014年のデータによると、年間で約2500万件の中絶が行われました。その3分の1に当たる約8万件は、安全性の低い環境で、専門訓練を受けていない人の手で、出血を伴う危険な方法で行われていました。こうした「安全でない中絶」によって起こる合併症は、世界全体で年間約7万件と推計されています。
先進諸国では、安全でない中絶によって、10万件につき30人の女性が死亡していると推計されています。この数は、開発途上地域では10万件につき220人、サハラ以南アフリカでは520人にもなります。
安全でない中絶による女性の死亡が最も多いのはアフリカです。アフリカにおいて実施された安全でない中絶は、世界全体の29%に相当します。しかし、中絶関連の死亡件数では、アフリカが世界全体の62%を占めるに至ります。*2
*1 WHO, Abortion, https://www.who.int/health-topics/abortion#tab=tab_1
*2 WHO, Preventing Unsafe Abortion, https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/preventing-unsafe-abortion