家族計画と避妊
1990年以降、避妊薬へのアクセスが拡大するにつれて、意図しない妊娠の割合は世界中で低下しています。
2015年から2019年にかけての5年間では、平均して年間1億2100万件の意図しない妊娠がありました。
これは、世界全体の15歳から49歳女性1000人あたり64件に相当し、1990年から1994年にかけての平均(15歳から49歳の女性1000人あたり79人)と比べると減少しています。
しかし、地域や国による格差はきわめて大きく、特に低中所得国では、性と生殖に関する医療へのアクセスが確保されていません。
そのため、低中所得国では毎年、1億1100万件の意図しない妊娠が発生し(2019年現在)ています。これは低中所得国におけるすべての妊娠の49%に相当し、近代的避妊法のニーズが十分に満たされていないことを示しています。言い換えれば、妊娠を避けたくても、そのために有効な近代的避妊法を利用できない女性が、低中所得国では今も多数存在しているということです。
妊娠を望まない低中所得国ののすべての女性が最新の避妊薬を使用し、すべての妊娠中の女性とその新生児が世界保健機関が推奨する基準でケアを受けられた場合、その効果は劇的なものになると、医学的研究が予測しています。*1
意図しない妊娠は68%減少します
安全でない中絶は72%減少します
妊産婦死亡率は62%減少します
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、低中所得国の性と生殖に関する医療サービスの提供体制に悪影響を与えており、意図しない妊娠、安全でない中絶、母体および新生児の死亡の減少傾向にブレーキが掛かることが懸念されています。
低中所得国では、現在避妊手段を使っている人の10%が保健医療施設で診察を受けにくくなるなどの理由で避妊手段を利用できなくなり、それが年間1500万件の意図しない妊娠増加につながる可能性があります。*2
*1 Sully EA et al., Adding It Up: Investing in Sexual and Reproductive Health 2019, New York: Guttmacher Institute, 2020, [https://www.guttmacher.org/report/adding-it-upinvesting-in-sexual-reproductive-health-2019.]
*2 Riley T, et al., “Estimates of the Potential Impact of the COVID-19 Pandemic on Sexual and Reproductive Health in Low- and Middle-Income Countries”, International Perspectives on Sexual and Reproductive Health, Vol46,2020, Pg 73-76, https://www.guttmacher.org/journals/ipsrh/2020/04/estimates-potential-impact-covid-19-pandemic-sexual-and-reproductive-health