母子保健の向上(妊産婦死亡の削減)
2017年には、1年間に推定29万5000人の女性が妊娠や出産、または中絶に関連する原因で死亡しました。
これは、一日あたりに直すと約800人の女性が、妊娠・出産・中絶によって死亡している計算になります。このうち、サハラ以南のアフリカだけで約66%(19万6000人)、南アジアがほぼ20%(5万8000人)を占め、両地域を合わせると全世界の妊産婦死亡の86%に上ります。*1
世界の妊産婦死亡率(Maternal Mortality Rate、MMR)は、2000年の「出生10万人あたり342」から2017年の「出生10万人あたり211」まで改善しました。*2
それでも、ほとんどの妊産婦死亡が家族や地域社会の中での必要に応じた支援と熟練した出産介助者のサポートによって予防できることを考えると、この数は容認できないほどの高さです。
2030年までの達成を目指す持続可能な開発目標(SDGs)の指標には、「世界のMMRを出生10万人あたり70未満に減らす」という目標が含まれています(目標3)。 2017年のMMRは、高所得国では10万人あたり11に留まるのに対し、低所得国では10万人あたり462です。*3
妊産婦死亡率を改善し、防げる死を減らすためには、輸送を含む構造的な医療保健システム、十分な設備、備品、薬を備えた施設、訓練を受けた医療従事者などの介入だけでなく、女性自身とその家族や地域社会が女性を積極的に支援する環境をつくらなければなりません。
妊娠中、出産時、および出産後最初の6週間の包括的で継続的なケアは、母親とその新生児の生と死を左右します。
また、最終的には、死亡率だけに焦点を当てるだけでなく、医療制度やユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)、ケアの質、母子保健関連の疾患罹患率、女性のエンパワーメントと女子教育など、より幅広い側面での課題を検討し、解決していくことが大切です。それが、家族計画や健康な妊娠、安全な出産の支援につながるのです。
*1 WHO他,Trends in maternal mortality: 2000 to 2017: ; 2019.(https://apps.who.int/iris/handle/10665/327596)*2 同上*3 WHO, Maternal Mortality- keyfacts, 2019, [https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/maternal-mortality]