名人芸
2018.5.2
自分の技に、惚れ惚れしたことが、これまでに一度だけありました。
市ヶ谷のジョイセフ事務所で。後ろの席の里紗さん(浅村事務局次長)とは相談の日々です。
それは、エチオピアで暮らしていたときのこと。
赴任当初、真夜中、ノミに刺されて目が覚めてしまうことが続いていた時のことです。停電していない夜は、裸電球が煌々と明るく、ベッドのシーツは真っ白だったので、濃い茶色というか黒っぽいノミが、いつも1匹いるのを見つけることができました。
1~2ミリのノミは、逃げ足が速い。ご存じと思いますが、飛び跳ねる。とにかく、取り逃がす口惜しさと、刺された後の痒さと言ったら…。しかも、新しく刺されると、以前刺されたあとも、また腫れて痒くなってしまうのです。
ところがです。バトルを繰り返すうちに、ノミが、どちらの方向に跳ねていくのか、瞬時にわかるようになったのです。そして、私は、遂に、飛び跳ねる先で待ち伏せして捕まえる技を身に着けることができました。
私って、すご~~い!と感動し、ノミを30センチくらい先で待ち伏せして捕まえる技磨きに、ワクワクしていました。
そして、いつの間にか、私の血の味に飽きたらしく、ノミに刺されることもなくなり、刺された後を掻きすぎて化膿する心配もなくなり、ホッとしました。でも、それと同時に、せっかく目覚めた能力も、消え去りました。そこは、なんだか、残念。
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- 勝部 まゆみ
- UNDPのJPOとして赴任したガンビア共和国で日本の国際協力NGOジョイセフの存在を知り、任期終了後に入職。日本赤十字でエチオピア北部のウォロ州に赴任するために一旦ジョイセフを退職、3年後に帰国・復職。ジョイセフでは、ベトナム、ニカラグア、 ガーナ、タンザニアなどでリプロダクティブ・ヘルスプロジェクトに携わってきた。2015年から事務局長、2017年6月から業務執行理事を兼任し、2023年6月に代表理事・理事長。