おわりに/堀川修平
私は、自分自身のことを男性であると捉え、周りからも男性であるとみなされて生きてきました。そのような私自身、本冊子で取り扱ったジェンダー・セクシュアリティといった「性」について真面目に考える機会はほとんどなく、どこか「男性である私の問題ではない」という他人事感が強くありました。
大学生になり、ジェンダー論を学んだとき、「男性」という属性によって知らず知らずのうちに生きやすさを得てきたこと、そして同時に、男性とみなされることによって、性と人権について粗雑に扱われてきたり、生きづらさを抱えてきたことも理解できました。
ジェンダー・セクシュアリティに関わることは、個人的な問題ではなく、社会的な問題です。個人の気の持ちようでも、ジェンダー差別のある歪んだ社会で他者を出し抜き、競争することで解決した気になることでもありません。社会とは人の集まり。社会の一員として私たち一人ひとりが存在しています。ですので、私たちが生きづらい思いをしなくていいように、社会制度自体を変化させることが必須になります。
教育とは、自己の発達(内面の変化)を促すものであり、変化した自己が属する社会を変える行為であると、教育学では考えられています。本冊子を手に取った皆さんが、まず「じぶんごと」として自分自身のジェンダー・セクシュアリティについて考えること。そして、「そうだったんだ!」「なるほど!」と納得した皆さんが、周りの方にそのことを伝えていくことが、遠回りのように見えて確実に社会を変えていく一歩につながります。是非今後も共に学び続けましょう!
このページは、冊子『Men’s SRHR MINI BOOK for All 〜みんなで考える、男性の健康とジェンダー〜』の内容を、ウェブに対応するための編集を加えた形で掲載しています。(冊子の情報はこちらから)