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- 人工妊娠中絶剤
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Abortifacient
流産を誘発させる物質または薬剤。選択に反対するグループ(訳注:中絶反対派)は、着床を防ぐ避妊薬をしばしば誤って「人工妊娠中絶剤」と呼ぶ。
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- 人工妊娠中絶または流産
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abortion
胎児が母体外で生育可能になる前に妊娠が中断する(させられる)こと。受胎の生成物である胎児、胎児被膜、胎盤が未成熟のまま子宮外に排出されることも含まれる。
人工妊娠中絶率 abortion rate
ある年における15-49歳の女性千人に対する推定人工妊娠中絶件数。
人工妊娠中絶比率 abortion ratio
ある年における出生千件あたりの推定人工妊娠中絶件数。
中絶旅行 abortion tourism
人工妊娠中絶を受けるため、法制度の異なる地域または国に旅行すること。
偶発性流産 accidental abortion
医療介入またはその他の干渉なしに、自然発生的に妊娠が中断すること。
同義語:流産(miscarriage)、自然流産(spontaneous abortion)
年齢別人工妊娠中絶率 age-specific abortion rate
ある国または地域における5歳ごとの年齢層の女性1人あたり平均人工妊娠中絶件数。
完全流産 complete abortion
受胎の生成物がすべて排出された状態。
犯罪的人工妊娠中絶 criminal abortion
違法な人工妊娠中絶のこと。
薬剤誘発人工妊娠中絶 drug-induced abortion
⇒薬剤による人工妊娠中絶(MEDICAL ABORTION)
習慣性流産 habitual abortion
妊娠が3回以上続けて維持できなくなること。
同義語:反復妊娠喪失(recurrent pregnancy loss)、反復流産(recurrent abortion)
違法人工妊娠中絶 illegal abortion
法的に正当とみなされない人工妊娠中絶。多くの場合、安全ではない。
不全流産 incomplete abortion
受胎生成物の一部が子宮内に残っている状態。
人工流産(人工妊娠中絶) induced abortion
自分の意思で起こした流産(abortionはこの意味で使われることが多い)。
同義語:妊娠中断(pregnancy interruption)、妊娠中絶(pregnancy termination)
進行流産(不可避流産) inevitable abortion
妊娠20週以前の子宮痙攣と子宮頸管拡張を伴う子宮内出血。受胎生成物はそのまま残るが、この経過を医学的に停止させる方法はなく、そのため受胎生成物は必然的に排出される。
合法的人工妊娠中絶 legal abortion
法的に認められた人工妊娠中絶。
法的制限のある人工妊娠中絶 legally restricted abortion
レイプや胎児の異状など、特定の条件でのみ許可される人工妊娠中絶。その結果、女性が安全でない違法な人工妊娠中絶を求める可能性は高くなる。
薬剤による人工妊娠中絶 medical (or medicated, or medication) abortion
薬剤(例ミフェプリストンの後にミソプロストールかゲメプロストを使用、またはミソプロストール単独使用)によって引き起こされる人工妊娠中絶(訳注:「ミソプロストール」「ゲメプロスト」とはプロスタグランジンE1誘導体製剤のこと)。
流産 miscarriage
同義語:自然流産(spontaneous abortion)
稽留流産 missed abortion
出血や子宮痙攣はないが妊娠が維持されないこと。受胎生成物は子宮内に残留し、妊娠の兆候も症状もなくなる。
同義語:無症候性流産(silent abortion)
部分出産中絶 partial birth abortion
人工妊娠中絶術式の一つで、子宮から胎児の体を摘出する、胎児の頭蓋骨を小さくするため頭蓋内容物の一部を排出する、腟から胎児を取り出すという処置が含まれる。
反復流産 recurrent abortion
⇒習慣性流産(HABITUALABORTION)
無症候性流産 silent abortion
⇒稽留流産(MISSED ABORTION)
自然流産 spontaneous abortion, natural abortion
医療の介入なしに、通常妊娠13週以前に自然に起こる流産。20週以降は「早産」と呼ばれる。自然界では受精卵の80%は着床しない。着床した胚の15-25%は(多くは女性本人が妊娠に気づく前に)流産される(訳注:わが国では、妊娠22週未満において、何らかの人工的操作を加えることなく、種々の原因で妊娠が中断することを「自然流産」と定義している。ちなみに、わが国では、妊娠22週から37週未満までの期間における分娩(妊娠中絶)を「早産」といっている(日本産科婦人科学会編用語解説集))。
同義語:流産(miscarriage)、偶発性流産(accidental abortion)、自然流産(natural abortion)
散発性流産 sporadic abortion
不連続に発生する自然流産。
外科的人工妊娠中絶 surgical abortion
以下の方法による人工妊娠中絶。手動または電動機器を使う真空吸引法、拡張と掻爬による方法、拡張と摘出/排出による方法。また、妊娠後期に子宮を切開して胎児を除去する人工妊娠中絶のこともいう。
治療的流産 therapeutic abortion
医学的理由で行われる人工妊娠中絶。ときに、熟練した施術者による合法的人工妊娠中絶とも定義される。
切迫流産 threatened abortion
妊娠初期の3半期(訳注:妊娠約3カ月)の痙攣または収縮のない出血。この症状は消失するか、自然流産で終わることがある。
安全でない人工妊娠中絶 unsafe abortion
必要な技能を身につけていない人や、最低限の医療基準を満たしていない環境で、またはその両方の条件下で実施される人工妊娠中絶(注:合法的人工妊娠中絶も違法人工妊娠中絶も、安全であったりなかったりすることがありうる)。
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- 膿瘍(のうよう)
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abscess
細菌感染による炎症を伴う膿嚢(のうのう)(訳注:うみの袋)。しつこい痛みがある。
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- 禁欲
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abstinence
禁欲とは、ある活動や行動を避けようと意識的に決断すること。性的禁欲の定義は、性的接触をしないことや、(口、肛門、腟への)挿入をしないことを意味するものまで幅広い。
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- 禁欲単独教育
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abstinence-only education
結婚まではあらゆる性的行動を避けることを推進し、禁欲がHIV感染と望まない妊娠の唯一の予防策であると教える教育。避妊、セクシュアリティ、セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスの問題については触れない。包括的セクシュアリティ教育では、禁欲をより安全なセックスの選択肢のひとつとして含めることが多い。
⇒包括的セクシュアリティ教育(COMPREHENSIVE SEXUALITY EDUCATION)
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- 後天性免疫不全症候群(エイズ)
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acquired immunodeficiency syndrome (AIDS)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染が進行した状態。
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- 投薬順守
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adherence to medication
患者が限られた監視下で決められた治療方法を継続する範囲のこと。正しい量の薬を正しい時間に、処方どおりに飲むことを含む。適切な投薬計画を順守しないと、薬物耐性につながることがある。
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- 癒着(ゆちゃく)
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adhesions
瘢痕(はんこん)組織が体の部分と結合した状態。腹腔や子宮内部で発生することがあり、生殖機能がそこなわれたり、不妊の原因となる可能性がある。
⇒アッシャーマン症候群(ASHERMAN’S SYNDROME)
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- 子宮付属器
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adnexae
子宮の周辺にある体内(腹腔内)の女性生殖器。卵巣、卵管、および血管と神経を含む靱帯(じんたい)のこと。
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- 思春期
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adolescence
個人が、大人に依存した状態から責任ある大人に移行する期間。世界保健機関(WHO)と国連では、思春期を10-19歳の間と定義している。
⇒前期思春期(PUBERTY)、10代(TEENAGER)、青少年(YOUNG PEOPLE)、若者(YOUTH)
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- 成人死亡率
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adult mortality rate
現在15歳の人が60歳の誕生日までに死亡する割合(人口千人あたり)。成人死亡率は、ある人口の死亡パターンを総合的に査定するうえで重要な指標である。
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- 政策提言
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advocacy
ある目的や問題に対する支援を確立するための運動、戦略、その他の活動。政策提言は人々の支持を獲得し、考え方や行動に影響を与え、法律を改正するなどの努力を通して、好ましい環境をつくり出すことを目指す。
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- 同意年齢
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age of consent
人が他人との契約や行動に対し、法的に効力のある同意を与える能力をもつとみなされる年齢で、法で定められている。
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- 年齢別・性別人口構成
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age-sex structure
各年齢層の男女の人数または割合を基にした人口構成。年齢別・性別人口構成は、過去の死亡、出生、人口移動を累積した結果である。
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- 年齢別出生率
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age-specific fertility rate
ある年、またはある期間における生殖可能年齢の女性千人あたり出生数。女性は各年齢または5歳ごとの年齢層で分類される。
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- 人口の高齢化
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ageing population
人口の高齢化は、平均寿命が延び出生率が低下する結果、徐々に起こる。人口の中に占める子どもと青少年の比率が減り、高齢者の比率が高くなる。
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- エイズ(後天性免疫不全症候群)
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AIDS
⇒後天性免疫不全症候群(ACQUIRED IMMUNODEFICIENCY SYNDROME)
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- 無月経
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amenorrhoea
少なくとも3カ月間月経がないこと。
原発性無月経 primary amenorrhoea
一度も月経がないこと。
続発性無月経 secondary amenorrhoea
以前は月経があった女性の月経がなくなったこと。
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- 羊水穿刺(ようすいせんし)
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amniocentesis
腹壁から針を刺して羊膜腔から少量の羊水を吸い出し、遺伝子の異常、その他胎児の異常の有無を判断するための診断方法。
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- 羊水(ようすい)
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amniotic fluid
胎児を包む液体。
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- 貧血
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anaemia
十分な量のヘモグロビンが体内に不足している状態。通常、鉄分の欠乏や大量出血が原因。結果として、組織は十分な酸素を受け取れない。
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- アンドロゲン
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androgen
アンドロゲンは、主に男性の生殖器系の発達に影響するホルモン群のこと。中でも最も活発なアンドロゲンは、精巣内の細胞でつくられるテストステロンである。
⇒テストステロン(TESTOSTERONE)
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- 中絶反対派
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anti-abortion
人工妊娠中絶の施術者や診療所に対して、または人工妊娠中絶を求める女性に対して暴力的な行動をとる個人やグループをさす。この用語は、ときには生命尊重派(pro-life)、反選択派(anti-choice)、強制出産推進派(pro-forced childbearing)、または強制母性推進派(pro-forced motherhood)の同義語として使われる。
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- 反選択派
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anti-choice
人工妊娠中絶を選択する女性の権利に反対する個人やグループ。ときに中絶反対派(anti-abortion)、生命尊重派(pro-life)、強制出産推進派(pro-forced childbearing)、強制母性推進派(pro-forced motherhood)の同義語として使われる。これらは、主たる動機が女性の自由を制限することにあることを暗に意味している。
⇒生命尊重派(PRO-LIFE)、中絶反対派(ANTI-ABORTION)
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- 抗プロゲストーゲン(抗黄体ホルモン)剤
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antiprogestogens
妊娠の維持に不可欠なプロゲステロン(黄体ホルモン)の作用を阻止する配合剤。抗プロゲストーゲン剤(例RU-486=ミフェプリストン)は、人工妊娠中絶を起こさせる。
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- 抗レトロウイルス療法
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antiretroviral therapy (ART)
HIV感染者の状態を管理し、エイズに進行するのを遅らせる薬物療法。他の用語には、高活性抗レトロウイルス療法(HAART)(訳注:ハート療法や多剤併用療法とも言われる)、抗レトロウイルス薬(antiretroviral drugs)、HIV治療(HIV treatment)、HIV投薬(HIV medications)、HIV薬物療法(HIV drug regimen)、HIV薬剤(HIV drugs)がある。
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- 抗レトロウイルス
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ARVs
Antiretroviralsのこと。
⇒抗レトロウイルス療法(ANTIRETROVIRAL THERAPY)
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- アッシャーマン症候群
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Asherman’s syndrome
子宮内膜の一部または全部が癒着する状態。子宮の炎症や感染が原因で起こり、不妊の原因のひとつとなる。
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- 吸引
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aspiration
吸引具を用いて液体または組織を体内から除去すること。人工妊娠中絶の場合は、卵子物質(胚または胎児、胎児被膜、胎盤、羊水)を子宮腔から手動の注射器すなわち手動の真空吸引器(MVA)または電動ポンプで除去することをいう。